「セクハラ」という言葉は今の日本の社会において既に定着してしまい、今もそのセクハラ行為によって苦しんでいる女性は多く存在しています。
セクハラは女性のみの問題ではなく男性のセクハラ被害者も存在している実態もあります。
セクハラは今や社会問題になっていて、中央省庁の官僚や政治家のセクハラ問題も注目を浴びた時期もありました。
セクハラの被害によって精神的な傷を負ってしまい、出社困難になってしまう事もあり、企業にとっても早急な対策が必要な現場もあります。
ここではセクハラの主な原因と、その対処法などを紹介していきたいと思います。
セクハラとは?どういう意味なの?
セクハラとは「セクシャルハラスメント」との略で、最近ではパワハラやモラハラなどのハラスメントがあります。
ハラスメント(Harassment)と言うのは「嫌がらせ」「いじめ」などを意味していて、セクシャルつまり「性的な嫌がらせ」の事です。
この言葉が日本で使われるようになったのは、1980年代の半ば頃から使われるようになりました。
1985年に男女雇用機会均等法が制定され、女性の社会進出に伴ってその法律も改正されていき、今の様な法律になっています。
また、この法律には以下の様な文言が入っています。
「事業主は、職場において行われる性的な言動に対するその雇用する労働者の対応により当該労働者がその労働条件につき不利益を受け、又は当該性的な言動により当該労働者の就業環境が害されることのないよう、当該労働者からの相談に応じ、適切に対応するために必要な体制の整備その他の雇用管理上必要な措置を講じなければならない。
厚生労働大臣は、前項の規定に基づき事業主が講ずべき措置に関して、その適切かつ有効な実施を図るために必要な指針を定めるものとする」
男女雇用機会均等法代11条より
セクハラは法律によって企業努力による解決をしなければいけない事になっており、これに背くことは法律に背くことになります。
そのため、厚生労働省は「性的な言動」を以下のように表しています。
「性的な言動の例」
①性的な内容の発言
性的な事実関係を尋ねること、性的な内容の情報(噂)を流布すること、性的
な冗談やからかい、食事やデートへの執拗な誘い、個人的な性的体験談を話すこ
となど
②性的な行動
性的な関係を強要すること、必要なく身体へ接触すること、わいせつ図画を配
布・掲示すること、強制わいせつ行為、強姦など
厚生労働省の「事業主の皆さん」より引用
上記は「例」となっているので、その他にもこのような言動にあたるよう事はセクハラとなります。
また、職場内での労働者の「意に反する性的言動」がセクハラにあたるので、相手が合意をしていればセクハラにはなりません。
セクハラが起こる原因
では何故セクハラが起こってしまうのでしょうか?ここでは女性が受けてしまうセクハラに限定して、その原因を取り上げます。
原因はさまざまあり、主観的な事になるので議論が必要とされるものになります。
「これが原因」と決めるのはナンセンスで、様々な原因がありその根源は非常に根が深い物だと思います。
ここで取り上げる原因は一例であって、限定されたものではない事を前段として紹介していきます。
男尊女卑の根深さ
男尊女卑とは、男性を重んじ女性を見くだす態度や思想の事で、昔の世の中ではこれが当たり前とされていました。
そのような時代はとうの昔にあった事で、今の社会でその様な態度をあからさまに取る人はほとんどいません。
しかし、未だにそのような考えが男性の側の思考の深い所にあり、男尊女卑の考えを垣間見せてしまう事もセクハラの原因となっています。
男尊女卑は女性差別でもあり、セクハラにとどまらず過去の歴史でも女性を差別的に扱う時代もありました。
女性差別的な考えが男性の何処かで未だくすぶっている事もセクハラの火種になっています。
女性軽視の実情
男尊女卑と同じような考えですが、女性軽視をする男性がいる事もセクハラの原因となります。
ひと昔前の企業の職場の女性の仕事は「お茶くみ」「コピー印刷作業」「電話番」などは女性がするのが当たり前となっていました。
未だにそのような事を女性が率先してやるべきだと思っている男性管理者もいるかもしれません。
そのような考えが、男性の側にあること自体が職場のセクハラを助長させていて、セクハラの被害者がなくならないのも確かです。
ただし、それらの古い考えがなくなれば、セクハラが無くなるのかと思えばそうでもないと思います。
男性と女性が同じ職場で働く以上、性的な目で女性を見てしまう事が無くならない限りは、男尊女卑や女性軽視の前に難しいハードルになってきます。
安易に女性を褒めてしまう
女性を差別的に見ているわけでもなく、軽視しているわけでもないのにセクハラになってしまうケースもあります。
それは女性を安易に褒めてしまった時に起こります。
例えば「○○さん今日も綺麗だね」はセクハラになります。
上記の「セクハラな内容の発言」の一例に「性的な事実関係を尋ねる事」の中に、その様な発言は含まれてしまいます。
安易に女性を褒める事はセクハラにつながってしまい、男性の側が気を付けなくてはならない事になります。
仕事の内容を褒める事は大いに構わない事ですが、女性という性別を見て褒める事はセクハラになってしまいます。
安易に褒めてしまう事がセクハラの原因となるのは以前から問題になっていましたが、未だにそれを理解していない人も世の中にはたくさんいます。
セクハラの具体例
ここでは実際に起きた職場でのセクハラの具合例を取り上げて紹介していきます。
セクハラは確信犯的にしている悪質なセクハラと無意識的にしてしまっているセクハラに分ける事が出来ます。
前者は問題外ですが、後者の方は男性が少し気を付ければいい事で未然に防ぐことも出来ます。
スリーサイズを聞いてくる
男性が女性にスリーサイズを聞く事は、軽はずみであってもセクハラになります。
女性の体や容姿について何か尋ねたり間接的に伝える事もセクハラになります。
これらは、職場でのセクハラの注意すべき点の基本中の基本であって、男性の方もセクハラにならないように気を付けていかねばなりません。
職場で女性に体の容姿や体型を聞くことは女性を性的に見ている事になり、男性同士であっても容姿や体型について何か言われれば、気分はあまり良くない場合も多くあると思います。
働く女性の中で、容姿や体型について何か聞かれた事のある人は我々が認識している数よりもずっと多いのかも知れません。
結婚の有無や追及
女性の中には様々な理由で結婚していない女性も多くいます。
そのような女性に結婚の有無やなぜ結婚しないのかなどを尋ねる事は、セクハラになり尋ねられた女性はとても不快な思いになります。
また、結婚に関連して妊娠の必要性や妊娠にまつわる会話などは全てセクハラの対象になります。
職場ではそのようなデリケートは会話はする必要はなく、特に会社の人間に言われることはとても不快な思いをしてしまいます。
男性女性問わず結婚の有無や妊娠については、職場では発言を注意しなくてはなりません。
それらの事で悩んでいる人は男性女性関係なく、思わぬ一言が相手に対して深く傷つける結果になってしまう事もあります。
「女性ならば」と言った付け加え
女性のセクハラでも多いのが「女性ならば○○」といった様な付け加え型の発言もセクハラになります。
その他にも「女性のくせに」などの発言もセクハラになり、言われてしまった女性はとても傷つきます。職場内において男性女性は業務の優劣はなく、それが根底になっているので女性の社会進出が実現しています。
また、女性だからといって毎回のようにお茶を入れるように強要する事もセクハラになります。
職場内においては男性女性は平等で、何か召使のように扱ってしまう上司も未だにいる職場もあるかもしれません。
そのような発言をする上司はとても古い考えの人間であって、社内でそのような発言がセクハラであると認識を共有しなければいけません。
食事にしつこく誘ってくる
一定の女性に対してしつこく食事に誘う事もセクハラになります。
誘っている方は好意があって誘っているのかもしれませんが、特定の女性だけ食事や何かを強要する事はセクハラになります。
女性も断り切れずに嫌々と食事などに一緒に付いて行っている場合も多く、断りきる事の出来ない女性にとっては、お昼休みや仕事終わりなどがとても気がかりになってきてしまいます。
このようなセクハラは、パワハラにも伴ってきて食事を断った事を理由に職場を変えさせられてしまったという様な事例もあります。
セクハラは自分(男性側)では気が付いていな事も多く、知らず知らずのうちにセクハラをしてしまっている場合もあります。
それを防ぐためにも女性目線の接し方を心掛け、安易なセクハラの内容の言動を防ぐ努力をしなければいけません。
セクハラ受けた時の対処法
セクハラに実際あってしまった場合にはいくつかの対処法は考えられます。
ここでは、具体的な対処法を紹介しますが、その対処法その物も、自ら行動を起こさなくてはならない事も多いので、参考程度に見ていただければと思います。
今もセクハラで苦しんでいる女性がいると思われますが、そのような状況で何かを行動に移すことはとても労力がいります。
はっきりと不快である事を言う
セクハラの被害を受けたならば、その場ではっきりと不快である事を相手に対して言う事が一番の対処法となります。
セクハラをした事を相手が分かっていない場合はなおさらです。
セクハラをした事によって、とても不快である事を伝える事は相手に対してもセクハラである事を認識させる効果もあります。
ハッキリとその場で言えないのであれば、間接的でもいいので毅然とした対応が必要になります。
何か中途半端な対応をしてしまうと、逆にセクハラ行為がエスカレートしてしまいます。
笑ってその場をしのいでしまいたくなりますが、決して相手に対して笑顔にならない事も1つの抵抗手段にもなります。
上司に相談する
職場のセクハラは上司に相談や報告する形でも対処法になります。セクハラはその職場や会社においての大きな弊害になる問題です。
女性の快適な職場を目指し働きやすい環境にする事は、管理者や代表の大きな役割です。
セクハラの被害に苦しんでいる女性社員を野放しにしている上司などは、まともな管理者とは言えず社内において駄目な上司のレッテルを張られても仕方ありません。
管理者になるような人は、大抵の場合まともな人が多くセクハラの被害に苦しんでいる事を相談すれば何らかの対応をしてくれるはずです。
しかし、上司本人がセクハラの加害者になっているケースも多く、そのような時は他の手段を考えるか、別の人間に相談せざるを得ません。
セクハラは上司がしてしまう事案が多く、なかなか解決しにくいケースも少なくありません。
部署を変えてもらう
セクハラする人間が同じ部署の人間であれば、思い切って違う部署に変えてもらうという対処法もあります。
セクハラをしている人間のせいで自分の働く場所が変わってしまうのは非常にしゃくな事ですが、セクハラの度合いによってはその対処法しかない事もあり得ます。
その場合も会社の上司に部署を変えてほしい事を言わなければいけませんが、セクハラの被害にあっている事自体は言わなくてもいいかも知れません。
特にセクハラの具体的な被害は男性の上司にはとても言いづらく、詳しい説明を求められてしまう事も無いとは言い切れません。
録音して証拠を残しておく
セクハラに被害の状況を何かに記録しておく事はとても重要な事です。
後のセクハラの被害を訴える時に具体的な証拠がないと、セクハラの有無がうやむやにされてしまいます。録音やメモ書きなどでも十分な証拠になるので、何かに記録しておく事もセクハラの対処法になります。
今はスマホなどの録音機能を使えば簡単にその場の音声を録音する事が出来るので、証拠を残すにはそれ程労力は掛からないと思います。
録音やメモ書きをしたならば、次なる準備が必要になります。
証拠をもとに会社に相談もしやすくなり、いざとなったら法的手段による解決もしやすくなります。
セクハラ受けた時の相談先
セクハラを受けた時には、上司に相談する方法もありますが、その他にも相談する所があります。
セクハラは社会問題にもなっているので、公共機関や法的な相談所もとても多く揃っています。
社内相談窓口
今の企業には社内相談窓口が設置されている所も多く、セクハラやパワハラに対して相談や通報する事が出来きます。
社内相談窓口は人事部が主に担当している所が多いですが、まったく別の部署によるセクハラ相談窓口も設置している企業もあります。
社内相談窓口に言えば必ずセクハラが無くなるとは言い切れませんが、何かしらの変化はあるはずです。
セクハラの問題は女性社員にとっては深刻なもので、セクハラの被害の訴えをすれば会社としても何かしなくてはいけません。
会社の相談窓口の他に組合関係者の人も大きな相談先になってきます。女性の組合関係者がいれば心強い味方になってくれます。
セクハラ被害に詳しい弁護士
セクハラの問題や企業のトラブルに詳しい弁護士に相談すれば、具体的な解決方法を導き出してくれて、女性にとっては強い味方と言えます。
さらに女性の弁護士ならば相談もしやすく、親身になって話を聞いてくれることでしょう。
また、弁護士に相談すればセクハラの被害によって働く事が困難になってしまった場合、セクハラをした加害者や企業に慰謝料を請求する事が出来ます。
そのためにも証拠を残しておく事がとても重要で、実際のセクハラの被害を訴えるには大きな武器になります。
セクハラは心の傷になるケースも多く、強制わいせつや強姦などの刑事事件としても訴えられ事案も過去にはあります。
労働局などの公共機関
各自治体などの労働局や労働基準監督署などにはセクハラ相談窓口を設置している所が多く、電話などでも気軽に相談する事が出来ます。
その際には無料相談になっているのがほとんどなので、余計な出費などは気にする事もありません。
労働基準監督署に赴いて相談する事は中々女性一人では行動しにくいと思うので、電話相談などを利用する事から始めると、いいかも知れません。
一人で悩んでいてもセクハラの被害は解決しにくい事も多く、自ら行動する事によって何かしらの道筋が見えてくるかもしれません。
セクハラ相談をしている各サイトなど
ネットで「セクハラ相談」と検索すれば、多くのセクハラ相談サイトが出てきます。
ネットの相談だからといって、何の解決にもならないと思っている方もいるかもしれませんが、自ら何かしらのアクションをする事が大切です。
誰かに自分のセクハラを訴えるだけでも、心が少しは軽くなるかも知れません。
セクハラの被害を女性同士で共有しあう事も大切で、世界的な「Me Too運動」の様なひとつのまとまりになる事も、セクハラ問題の社会全体を変えていくきっかけにもなります。
まとめ
女性がより良い職場で働くためにも、セクハラの問題は社会全体の問題として捉えなければなりません。
セクハラの原因は一概にこれと言った原因を断定できませんが、男性の側の古い考えを改める事によって、徐々に減少していくと思われます。
その時の対処法は様々ありますが、対処法を実施するには自ら動くしかありません。
良き相談相手を見つける事から始めるのも一つの手段になってきます。
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