日本国内のネット通販などはたくさんあり、通販を主軸としている企業にとってはさらなる拡大を図りたいものです。
その時には海外をターゲットにした通信販売などがあり総じて「越境EC」などと言われています。
そもそも越境ECとは何なの?と思われているでしょう。
越境ECとは「越境エレクトリックコマース(Electronic Commerce)」の略で国境を超えて海外に向けたオンラインショップなどの通販サイトを展開するということです。
越境ECを行うことで海外に向けて自社の製品を販売することができるので、企業にとっては大きな魅力があります。
そこでこちらでは、越境ECにおいての日本企業の現状、越境ECを展開してうまくいっている日本企業の特徴などを紹介していきます。
また、日本企業が越境ECで成功させるために行うべきことや成功している企業の事例なども合わせて紹介していきます。
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越境ECにおける日本企業の現状
まずは越境ECにおける日本企業の現状を見ていきましょう。
海外のECサイトに比べるとまだまだ日本は他国に向けた商品販売展開の切り出しが遅く、特に日本と中国とアメリカの3国同士の越境ECの市場規模を比較すると顕著に表れてしまいます。
アメリカ・中国との越境EC市場規模よりも低い
経済産業省のデータを見てみると2017年の日本・アメリカ・中国の3国間においての越境ECの市場規模では日本が最も低いことが分かります。
日本はアメリカ・中国それぞれからから購入した越境EC消費量が2,570億円なのにたいして、中国では日本・アメリカから購入した越境EC消費量が2兆7,556億円と遥かに上回っています。
アメリカに関しても日本・中国から購入した越境EC消費量では1兆2,070億円と高い金額になっています。
この結果から分かる通り、日本では越境ECでの購入している金額がとても低いことがわかります。
ECを利用している企業の半分以下しか越境ECをしていない
日本貿易振興機構(ジェトロ)が調査したデータを見てみると、2016年度のECを利用した企業の731社のうちに海外に向けたネット通販販売を実施した事のある企業はわずか47.2%と低く、約半数の企業しか海外に向けたネット通販販売を実施していません。
インターネットでの普及によって世界と繋がりを持てる状況にもなっているにもかかわらず、ECサイトを利用している半分以下の企業は国内止まりとなっているのはややむなしい現状といえます。
越境ECの市場のほぼ半分が中国を占めている
先ほどの越境ECでの市場での販売先の国を見てみると、49.6%の割合で中国が販売先となっていてます。
2016年度のデータになるのでやや古いデータになりますが、今もその現状が推移しているといっていいでしょう。
経済産業省では2021年までの日本・中国・アメリカの3つの国での越境ECの市場規模の予想推移を出していて、中国やアメリカでは2021年の市場規模は2017年の約2倍となっています。
一方、日本の場合では3国間の市場規模ではわずか500億円しか上昇しないことをデータとして予想しています。
話を戻しますが、日本においての越境ECの対象国の1位は中国で続いて2位はアメリカ、3位台湾、4位香港5位韓国となっているのが現状です。
越境ECでうまくいっている日本企業の特徴
続いて、越境ECでうまくいっている日本企業の特徴などを見ていきましょう。
うまくいっている企業の特徴を見ることによって、海外に向けてどのような商品が売れているのかを知ることができます。
日本独自の文化を取り扱っている
日本企業で越境ECが成功している特徴では、日本独自の文化を商品にして扱っている企業が目立ちます。
日本独自の文化とはオタク文化や和の文化、ポップカルチャー、品質のいい食べ物やお菓子、などがあります。
越境ECで上手くいくためには、海外では販売されていない商品や日本のイメージをブランディングした商品などを持っているかが大きなカギとなります。
また、日本の商品は品質が良いというイメージがまだあるので、それを前面に押し出すことのできる商品を持っていることも上手くいっている企業の特徴になります。
SNSなどを有効活用している
今ではツイッターやインスタグラム、フェイスブックなどのSNS(ソーシャルネットワークサービス)が充実しています。
越境ECでうまくいっている企業ではこれらのSNSを上手く活用している企業が多く、SNSを媒体にして商品の宣伝や魅力を伝えている企業が見受けられます。
日本国内でもSNSを活用した商品PRは重要となっていますが、越境ECにおいても同じことが言えます。
特に中国やアメリカなどでは日本よりもSNS文化が進んでいるので、越境ECでうまくいっている企業はSNSを活用していることが特徴になります。
外国人スタッフを積極的に雇っている
越境ECは海外をターゲットにしているネット通販になるので、外国人スタッフを雇うことが重要です。
そのため、越境ECでうまくいっている企業の特徴では中国人スタッフやアメリカ人スタッフなどを積極的に雇い入れています。
海外向けのホームページなどを作成する上でも、ネイティブな目線から見てもらって改善していく方がより質の高い海外向けのホームページを作成することができます。
また、海外向けに商品を販売する時には海外の人間と連絡を密にしなければ上手くいかないことも多いので、日本語が話せる外国人スタッフなどがいれば上手く間を取り持ってくれます。
越境ECでうまくいっている企業の特徴では、外国人スタッフを積極的に迎え入れていることが特徴になります。
日本企業が越境ECで成功させるためにやるべきこと
それではこれから越境ECを始めることを考えている企業はどうすれば成功するのでしょうか?
前述した越境ECでうまくいっている企業の特徴を見てみると分かりますが、日本独自の商品を持っていることや、SNSを活用する、外国人スタッフを雇い入れるなどがあります。
その他にもいくつかやるべきことがあるので、今後越境ECを検討している人や海外向けのネット通販は起業しようとしている人は参考にしてみて下さい。
越境ECコンサル会社を利用する
実際に越境ECをスタートさせる企業の場合は国内でECサイトを展開している企業が多く、その時には越境ECコンサルタントを活用すると成功させやすくなります。
越境ECコンサルタントとは海外に向けたネット通販をサポートしてくれコンサルタント会社のことで、SNS分析や有力なインフルエンサーなどを紹介してくれます。
また、海外バイヤーとの仲介なども行ってくれるので、まったく海外との繋がりがなかった企業でも海外向けネット通販をスタートさせることができます。
その他、越境ECコンサルタント専門でなくても、一般のECコンサルタントであっても越境ECをサポートしてくれるコンサルタント会社もあります。
webマーケティングを考えてサイトを作る
海外に向けたwebマーケティングを考えてサイトを作ることも重要で、まずは海外の人に自社のサイトを見てもらわなければ越境ECは成立しません。
そのためにも前述した越境ECコンサルタントのサポートが必要になり、言語の問題や海外向けのサイトのデザイン、SNSとのマッチング、海外プロモーションなどがポイントになります。
また、今では越境ECのマーケティングを見据えた講演会やセミナーなども開催しているので、そのあたりでも海外に向けたwebマーケティングを意識したサイトを作るノウハウなどを吸収することができます。
越境ECに強い物流ライフラインを確保する
海外に向けたネット通販を展開する場合には、低コストの物流ライフラインを確保する方が有利になります。
そこで今では越境ECの物流をサポートしてくれる海外物流サービスが充実しています。
「株式会社ノーパット」では海外物流のサポート事業を展開していて越境ECにおいても、低コストの配送料で海外に商品を送り出してくれます。
特に中国への物流が強くEMSよりも低コストで商品を発送することができます。
また「Green Box株式会社」では越境ECでの集荷から現地の配送まですべてをサポートしてくれ、安心して海外に商品を発送することができます。
越境ECで成功させるためには物流の確保をすることが重要となり、これらの海外物流サービスを利用することでコストを抑えて発送することができます。
越境ECで成功している日本企業の事例
続いて、越境ECで成功している日本企業の事例を紹介します。
オタクモード・ドットコム
オタクモード・ドットコムでは日本のアニメやゲームのキャラクターを中心に取り扱っている企業で、海外に向けたネット通販で成功しています。
主にはSNSなどを通してプロモーションが成功していて、SNSからオタクモード・ドットコムのサイトへと流れ込んでいます。
海外では日本のアニメやゲームのキャラクターを購入できるところが日本と比べて雲泥の差で少なく、それを穴埋めしてあげたことで海外の若者に大きな支持を得ています。
バルクオム
バルクオムは洗顔料や化粧水などのスキンケア用品を取り扱っている企業で、越境ECコンサルタント会社のサポートで大きく飛躍した企業になります。
コンサルタント会社を利用する前にはサイト上でのカートシステムに欠点があり顧客の確保が安定していませんでしたが、コンサルタント会社の指導によってカートシステムが改善されました。
その結果コンバージョンも大きく伸びて顧客の確保につながり、東南アジアのほうで売り上げを大きく伸ばしています。
おすすめの越境ECコンサル会社
最後におすすめの越境ECコンサルタント会社を紹介します。
越境ECコンサルタントを利用することで先ほど紹介したようなシステム上の改善をすることができて、海外のネットビジネスをする上では大きなサポートになっていきます。
LIFE PEPPER
LIFE PEPPER(ライフペッパー)は海外マーケティング戦略や訪日外国人集客などを得意とする越境ECコンサルタント会社です。
年間600社以上の相談実績があり大手企業などからにも相談依頼を受けています。
大手企業をあげるとセブン銀行、ドン・キホーテ、JTB、ぐるなび、象印など大企業に対して海外展開へのサポートに従事しています。
主なサービスでは多言語サービスでのSEO対策や広告プロモーション、SNS運用、海外デジタルマーケティングなどのサービスを提供しています。
越境EC X(クロス)
「株式会社トレンドExpress」が運営している越境EC・X(クロス)は中国をターゲットにした越境ECコンサルタント会社になります。
主には中国での商品認知度の向上のためのプロモーションサービスや日中間のソーシャルバイヤーの火付け役などを行っています。
SNS分析などにも精通しているため、中国でのトレンド情報などにもリアルタイムなプロモーションを実行することができます。
直接購買に繋がっている中国の個人店舗を活用しているのが大きな特徴で、そこからさまざまなブランディングを働きさせています。
まとめ
日本での越境EC市場はアメリカや中国など比較してしまうと伸び悩んでいるのが実情です。
経済産業省の見通しを見てみても、日本での海外向けのネット通販の拡大はなかなか進まずかなり遅れをとっています。
ただ、越境ECに舵を切ったことで国内ではそれほど大きな利益を得ていなかった企業であっても、大きな躍進を取っているような実例があります。
今ではその越境ECをサポートしてくれるコンサルティング会社なども多く、また物流のサポート体制を整えることもそれほど難しいものでもありません。
これから越境ECを目指す企業や国内でECサイトが上手くいっていない企業などは、かつての成功事例などを参考にして、自社の商品を海外展開してみてもいいのではないでしょうか?
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